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【TBJ河村甚】オードリー・タン氏が台湾で導入した意思決定を進化させる発想とは?

会議で新しい発想が出てこない
✔️ 意見を出せる人が限られている
✔️ チャレンジが継続せず、組織に停滞感がある
──そんな兆しを感じている方へ。

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471号      2025.12.4 
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河村甚コラム「チームの社会科」では、組織づくりに取り組むみなさんにぜひ知っておいていただきたい、社会で起きている変化や事実をチームビルディングの視点で解説します。社会の変化に適応できる力を養っていきましょう。

□■ 河村甚の『 チームの社会科 』 ■□
オードリー・タン氏が台湾で導入した意思決定を進化させる発想とは?

台湾のオードリー・タン元デジタル大臣の取り組みは、一般には「デジタル技術を活用して民主主義をアップデートした」という文脈で紹介されることが多いのですが、その本質は、テクノロジーそのものではなく、テクノロジーを使って実装された新しい社会運営のしくみです。デジタルはあくまでその思想を実現させるための道具であり、本質的に変わったのは、意思決定の仕組みなのです。

現在の民主主義には、2つの大きな問題があります。第一に、代表制民主主義の限界です。選挙の際に候補者は公約を掲げますが、これは「事前に答えを決めてから議論に臨む」ことと同じで、議論の創造性を大きく制約します。有権者との約束を守る前提に立つため、議会での対話から新しい案が生まれにくくなってしまうのです。

第二に、直接民主主義の限界です。住民投票のように市民が直接意思決定に参加する方法は一見すると民主的ですが、実際には「賛成か反対か」「AかBかCか」という与えられた選択肢の中から選ばざるをえず、その範囲を超えた新しい選択肢が生まれることはありません。マイノリティを切り捨てる多数決となります。本来は、立場ごとの背景にある価値観の違いそのものが重要にもかかわらず、それが扱われずに捨てられてしまうのです。

オードリー・タン氏が革新的だったのは、この二つの壁を一気に乗り越えた点にあります。彼女は、意思決定のプロセスに「対話」と「多元性」を中心概念として位置づけ、デジタルツール(Pol.isなど)を使って数千、数万人の市民の声を可視化したり、あるいは市民を無作為に抽出して対話の場を設けたりするなど、多様な意見を集約する仕組みを作りました。対立の先にある、より多くの人が合意できる大事なことを描き出していったのです。

このプロセスの優れているところは、A案とB案が対立しているように見える場面でも、対話を通じて自然と“C案”が生まれていく点にあります。参加者自身も予想していなかった解決策が立ち上がる。これこそが「創発」です。民主主義を「多数決の仕組み」から「創発の仕組み」へと変えたことが、今の時代にあった、そして今の時代だからこそできるようになった変革と言えるでしょう。

重要な概念が“Plurality(多元性)”です。多様性というと性別や人種など、表面的な違いに注目しがちですが、ここで大切にされているのはいわゆる認知的多様性と言われるもの、つまり元となる価値観の違い、考え方の特性などです。当たり前さえも異なる人たちがそれぞれの考えを持ち寄り、お互いを尊重し合いながら共に話し、考えていくことで、未知の課題に対する最適解が浮かび上がってきます。

こうした仕組みを国家レベルで導入したというのが素晴らしいことで、未来の可能性を感じます。これは単なる理論ではなく、「実際に運用されている方法論」であり、この発想は組織づくりにそのまま応用できると考えています。

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◆◆ 編集後記 ◆◆
瀬田すみ恵です。
今号は甚さんのコラム前編をお届けしました。

オードリー・タン氏が台湾でつくった「多元性を大切にする意思決定の仕組み」は、読むたびに「こんな世界も可能なんだ」と希望を感じさせてくれます。
賛成か反対か、AかBかと二択で迷うのではなく、対話を重ねることで、思いもよらない“C案”が自然に生まれてくる――
そのプロセスは、私たちが日々のチーム運営で悩む場面にもそっくりです。
違いや立場の違いを、ただ乗り越えるのではなく、チームの力に変えていけるかどうか。そんな可能性を感じさせてくれます。

後編では、この国家レベルの挑戦が、どのように企業や組織の現場で実践できるのかを、甚さんが解説します。
チームで働く私たちにとって、「価値観の違いを生かす仕組みづくり」は、きっと身近で大切なヒントになるはずです。
次号の後編も、どうぞ楽しみにしていてくださいね。
 
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